クーリングオフ制度
口のうまいセールスマンにうまく話を進められ、気がついたら契約を締結してしまったが、頭を冷やしてよくよく考えてみたら、やっぱり契約を白紙に戻したい。
そのような場合に利用できる制度として、クーリングオフ制度があります。
クーリングオフ制度とは、平たくいえば、頭を冷やして良く考え直す期間を消費者に与え、その一定期間(熟慮期間)内であれば消費者が業者との間で締結した契約を一方的に解除できることを認めた制度です。
このようなクーリングオフ制度は、原則として個別の特別法で規定されている場合、あるいは個別の契約で規定されている場合に限って利用できるもので、全ての取引がクーリングオフ制度の対象となるわけではありません。
クーリングオフ制度を規定している特別法の代表例としては、特定商取引に関する法律、割賦販売法などが挙げられます。
熟慮期間の長さは、クーリングオフ制度を定める個別の法律によって異なっています。
消費者契約法による規制
商品やサービスに関する内容や契約条件について詳細な知識を有する事業者と、何の知識も無い消費者とでは、契約の締結に際する情報の質や量に大きな格差があります。
このような格差ゆえに被害を受けやすい消費者を救済するための法律として、消費者契約法があります。
消費者契約法は、消費者と事業者との間の全ての契約に適用されます。
同法は、以下のような消費者保護の規定を定めています。
(1)契約を取り消すことができる場合
①不実告知
契約締結に際し、事業者が重要な事項について消費者に事実と異なることを告げ、消費者がこれを事実だと誤認した場合、消費者は契約を取り消すことができます。
②断定的判断
契約締結に際し、事業者が将来における変動が不確実な事項(例えば土地や建物の将来における価値)について断定的な判断を告げ、消費者がこれを確実なものであると誤認した場合、消費者は契約を取り消すことができます。
③不利益事実の不告知
契約締結に際し、事業者が消費者に利益となる事だけを告げて、不利益となる事実を故意に告げず、消費者がその不利益な事実が存在しないものと誤信した場合、消費者は契約を取り消すことができます。
④不退去
消費者が事業者に対して、住居や職場から退去するよう告げたのに事業者がその場から退去せず、これによって消費者が困惑して契約を締結した場合、消費者は契約を取り消すことができます。
⑤監禁
消費者が事業者に対して、勧誘をされている場所から退去したい旨を告げたのに事業者がその場から退去をさせず、これによって消費者が困惑して契約を締結した場合、消費者は契約を取り消すことができます。